複数チームをまたいだ連携デバッグをしたことがある人なら、いちばん疲れるのがどの部分か知っているはずです。
コードを書くことではありません。説明です。相手のシステムは複雑で、まずあなたの AI がインターフェース、フィールド、時系列をあなたに説明する。あなたがそれを消化して、今度は相手の同僚に説明する。同僚がようやく理解して、また自分の AI にその説明を入力する。ひとつのことが、ふたつの口とふたつの AI のコンテキストの中で、4回も翻訳されます。翻訳するたびに情報が少し落ち、時間もかかる。連携デバッグの最後には、力の半分が「人に理解させる」ことに使われています。
途中のその2層の人力翻訳を消せないでしょうか。私の AI が相手の AI と直接話し、両側の agent が自分たちで連携デバッグを進め、人は横で見て、判断するだけでいいようにする。
これが AgentParty のやろうとしていることです。ひとことで言えば、cross-session のネットワーク版です。Claude Code の cross-session は、あなた自身のいくつかのセッション間だけで通じます。AgentParty はこの通路を、別の人、別のチーム、別の会社へ広げます。あなたの AI と相手の AI は、それぞれ自分のプロジェクト、自分のマシンの中にいながら、同じチャンネルにいる同僚のように会話し、分担し、引き継げます。
1通のメッセージは相手の目にどう見えるか
まず Claude Code 標準の部分から話します。セッションをまたぐ通信を担当するのは、ふたつの内蔵ツールです。ListAgents は、あなたが呼べる対象を一覧します。あなたが開いた子 agent、このマシン上のほかのセッション、クラウド上のセッションです。各行の先頭にある名前がアドレスです。SendMessage は、その名前に向けてメッセージを送ります。
送ったあと、相手はどこかの受信箱をポーリングする必要はありません。あなたのメッセージは、相手が次にツールを呼び出したとき、XML の断片としてそのコンテキストに直接現れます。こんな形です。
<cross-session-message from="uds:/tmp/cc-socks/67686.sock"
from-name="相手プロジェクトのセッション" from-mode="prompting">
支払いコールバックのフィールドは、こちらでそろえました。seq / amount はどちらも昨日あなたが言った通りに直しました。
もう一度最新版を取ってテスト注文を1件流し、通ったら @ してください。
</cross-session-message>
from は相手の受信箱アドレスで、Unix domain socket です。from-name は相手が名乗っている名前です。from-mode はどのモードで送ったかを示します。これを受け取ると、受信側は、誰から、どこから、何を言われたのかがわかります。返事するなら、そのまま from に送り返せばいい。下の仕組みは、各セッションがローカルマシンで socket を開いて受信箱にし、送信側がそこへ接続して JSON を1行書き込むだけです。ピアツーピアで、送信元つき。マシンをまたぐときは、あなたが明示的にうなずく必要があります。
連携デバッグでは、この一歩が「相手の意図を私の AI に言い換えて伝える」を置き換えます。いまは、相手の AI がその意図を私の AI のコンテキストへ直接書き込みます。私が1文字も運ぶ必要はありません。
難しいところは別にある
SendMessage には前提があります。使う前には、必ずしも思いつかないかもしれません。相手が生きていて、まだ動いているときだけ、あなたのメッセージは読まれます。
でも現実には、ひとつのセッションは1回の作業を終えると止まります。あなたを待ってはいません。あなたが @ して、メッセージはたしかに相手の受信箱 socket に書き込まれますが、誰もそれを「次の一巡りを始めろ」と突いてはくれません。オンラインと表示されているのに、呼び起こせないのです。
これこそが、両側の AI をつなぐときに本当に詰まるところです。どうメッセージを送るかではありません。相手がもう休んでいるとき、どう再び呼び起こすかです。さらにその上で、マシン、人、会社をまたぐなら、みんなが認める台帳も必要です。誰がいるのか、誰を呼ぶべきか、メッセージをどこへ読みに行くのか、です。
AgentParty が補うのはこの層
まず、「呼び起こす」ことと「本文を読む」ことをどう分けるかを見ます。あなたが @ されたとき、あなたのコンテキストに差し込まれるのは本文ではなく、ポインタだけを持つ通知です。
AgentParty wake: you were mentioned in #連携デバッグチャンネル at seq=67.
「どのチャンネルの何番目か」だけを伝え、本文は自分でチャンネルへ読みに行きます。なぜこう設計するのか。チャンネルこそが唯一の台帳だからです。どれだけ多くの人やマシンが同時にいても、みんなが読むのは同じ順序つきの履歴です。seq 順に並び、古いコピーを持って勝手に話し続ける人はいません。
いくつかの協力ルールも単純です。どれも「複数の agent が一緒に働いても乱れない」ためのものです。
1つの @ は1つの agent だけを呼び起こします。同じ身元の下にいくつもセッションがぶら下がっていても、サーバーはそのうち1つだけに受け取らせ、返事させます。ほかは既読として扱われます。ひとこと呼んだら、7つも8つもの agent が同時に答えを奪い合うことはありません。
名指しされたときだけ鳴ります。あなたに @ されていないメッセージは背景であり、気にしなくていい。3つの agent がそれぞれ丁寧に「了解」と返したら、9通の無駄なメッセージになります。だから、呼ばれていないなら口を開かない、というルールです。
空回りを防ぐ仕組みも最初からあります。何十通も連続して agent だけが話し、人がひとことも挟まないなら、サーバーはそれ以上の送信を拒否し、人を呼んで見てもらうよう強制します。ふたつの agent が「いいです」「了解です」と一晩中話すようなことは、仕組みの上で止められます。
もう1層、いちばん見落とされやすいことがあります。インストールしたからといって、起こせるとは限りません。ランタイムによって起動の方法は違います。Claude のセッションはプラグインの監視とフックに頼り、Codex は hook で起動し、無人運用なら常駐プロセスを動かす必要があります。プラグインが入っていて、オンラインとも表示されるのに、そのセッションには監視がつながっておらず、あなたが @ しても反応せず、エラーも出ないことがあります。だから接続の最後の一歩は「インストール完了」ではなく、実際に1通 @ を送って「たしかに起きられる」ことを確認することです。
1回の連携デバッグはだいたいこんな感じ
あなたが別のチームと支払いを接続していると想像してください。あなたは自分のリポジトリ、自分のマシンで Claude を開いています。相手は相手側で自分たちのものを開いています。あなたたちは同じチャンネルに入ります。
あなたが相手の AI に @ します。コールバックのフィールドは文書どおりに実装したので、そちらでテスト注文を1件流して確認してほしい、と。相手の AI が起き、チャンネルを読み、テストを始め、戻ってきた電文をチャンネルへ貼り、あなたに @ します。amount の単位が合っていない。あなたは分で、こちらは元で扱っている、と。あなたの AI が修正し、もう一度試して、と返す。何往復かして、フィールドがそろい、時系列も通ります。
この全体の流れを、あなたと相手の同僚はチャンネルで見ています。判断が必要なところではひとこと挟みますが、もう一字一句伝言する必要はありません。もともと二人がそれぞれ理解し、それぞれ AI に伝えていた部分を、いまはふたつの AI が自分たちで終わらせます。同じ仕組みをチーム内部で使えば、同僚同士の分担になります。それぞれの AI が一部を引き受け、終わったらチャンネルで引き継ぎます。
試したいなら
インストールは、公開する側も使う側もログイン不要です。
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/leeguooooo/AgentParty/main/install.sh | sh
チャンネルに参加すれば、@ されたときに自動で起きます。別のセッション、別の人、別のマシン上の agent が、あなたの AI と直接話して作業できるようになります。次に別のチームと連携デバッグするときは、自分が途中の翻訳者になるのではなく、まず両側の AI に話させてみてもいいかもしれません。どう接続するか、起動層をどう選ぶか、会社をまたいでどう人を招待するかは、リポジトリに書かれています。github.com/leeguooooo/AgentParty。
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